やってること(これからもやること)


脳卒中や整形外科疾患の上肢運動機能回復

 脳卒中者の上肢麻痺の改善についていろいろと研究してきました。現在は、ロボットリハ(HONDA歩行アシスト、HAL、ReoGO-J、TOYOTAウェルウォーク)など動作をアシストして機能回復させるものがあります。また、脳神経や筋や末梢神経に刺激を入れて回復させるニューロリハリハビリテーション(rTMS、ボツリヌス療法、CI療法)も行われてきています。また、反復促通訓練(川平法)やミラーミラーセラピーなど多くの治療法が行われてきています。

 ただし、麻痺の完全回復を促すには十分ではないと考えています。それは、対象者の脳の損傷の程度が同一ではないからです。麻痺の回復は永遠の研究課題であると思います。iPS細胞がいろいろと研究が行われて脳神経の再生にも使用できるエビデンスが確立できると麻痺の改善が一気に加速するかもしれません。 



障害者のある方々のスポーツ参加

パラ・スポーツ関わるきっかけ

 東京オリンピック・パラリンピック2020が2021年に開催されました。これは1964年の東京オリンピック以来2回目の開催となりました。この時、あまり知られていなかった東京パラリンピック(第2回)も開催されています。東京パラリンピックは第13回国際ストーク・マンデビル車椅子競技会として開催され、この大会の通称をパラリンピックとした初めの大会です。パラリンピックは第一部で、第二部として身体障害者を対象とした日本人選手だけの国内大会も開催されています。私が生まれる前の話であり、2020東京パラリンピックが開催されなければ知ることもなかったかもしれません。

 障害者のスポーツに関わるきっかけは、2011年8月に2016年リオ・デ・ジャネイロパラリンピックにトライアスロンがパラリンピックの正式種目になったことです。それまで、マラソンをやってきて、主宰するランニングサークルや市民向けランニングクラブを行って健康増進や趣味活動の手助けをしてきました。そんな私に2016年の大会で山形からパラトライアスロンの選手をパラリンピックに!とのことでトライアスロンのコーチングスタッフのメールが来ました。トライアスロンは周りでやっている人はいました、泳げない私はトライアスロンはできませんし、やったこともありません。ルールも分かりません。それでも、障害者スポーツには興味がなかったわけではないので、チャレンジしてみようと思いました。 


パラトライアスロン(障害者トライアスロン)

パラトライスロン(障害者トライアスロン)の距離は、スイム750m、バイク20㎞、ラン5㎞のスプリントディスタンスと呼ばれる距離になります。それでも十分に長いと思います。すごいと思います。特にスイムは基本海で泳ぎます。足が届きません。力尽きたら溺れます。これぞ死ぬ気になってやらないといけない種目です。チームの選手は脳卒中の方が在籍していて一緒に練習しました。私は泳げないのでランを中心にバイクを一緒に練習していました。

 約1年(2012年)の練習期間を得て2012年夏初大会参加へ。。今思えば無茶ぶりですね。みゆぎ国際トライアスロン仙台ベイ・七ヶ浜大会(通称:伊達トラ)に2名の選手がチームのガイドとともに参加しました。完走できたことに感動です。

脳卒中の方は片麻痺があります。特徴的な症状があります。麻痺手足をうまく使い競技をしなくてはなりません。頭が下がります。

 2013年9月には2013ロンドンITUパラトライアスロン世界選手権に出場しました。これはパラトライアスロン初の国際大会でした。これを機にいろいろなパラトライアスロン選手と知り合うことができとても勉強になりました。

 パラトライスロンで、視覚障害者のガイドもする機会も得ました。一緒に走ったりタンデムバイクに乗ったり、今まで経験したことがことが多く戸惑いもありおっかなびっくりでした。

 また、多くの大会でパラトライスロンのサポートをさせていただきました。私自身、トライアスロンはしたことがないにも関わらず(リレーとデュアスロンは出場したことがあります)丁寧に指導いただいて感謝です。 


全国障害者スポーツ大会

これまで、あまり目を向けて来なかった障害者スポーツですが、パラトライスロンを機に全国障害者スポーツ大会に関わることができるようになりました。2014年長崎、2015年和歌山、2016年岩手、2017年愛媛と関わらせていただき、これまで関わってきた肢体不自由の方々の他にも知的障害や視覚障害、聴覚障害の方とも大会を通じて関わることができました。とても貴重な体験ですし、自分自身の視野の狭さを痛感しました。 


山形県障害者スポーツ競技力向上等検討委員会

「山形県ゆかりのある選手を東京パラリンピックに!」をスローガンに山形県を中心に委員会が発足。選手育成はもとより、県民皆さんに障害者スポーツに興味を持ってもらうことが重要であると思いました。各種イベントの開催や県民に対する障害や障害者スポーツの理解度、今後の障害者スポーツの担い手になっていくであろう小・中・高校生にアンケートを行ったり、障害者スポーツ指導員の活動実態の調査、障害者が利用する体育施設の調査、障害者のスポーツ実施に関する調査を行ってきました。

 いろいろ調査研究を行っていましたが、継続した取り組みは必要であると実感しています。女子サッカーでワールドカップ優勝した際に「一過性のムーブメントではなく文化に」といったように、パラスポーツも「文化」「身近」にならないといけないと思います。そのためには「障害理解」を進めることが最も重要であると思います。その為には、子供たちの教育が重要であると思います。

 

障害者スポーツの研究

障害者スポーツの調査研究を数年かけて行ってきました。

①県民に対する障害者スポーツの理解度調査

②今後の障害者スポーツの担い手になっていくであろう小・中・高校生にアンケート調査

③障害者スポーツ指導員の活動実態の調査

④障害者が利用する体育施設の調査

⑤障害者自身のスポーツ実施率等に関する調査

さらには選手の競技力向上のために、動作分析を行ってきました。

障害は千差万別で、加えて、個々の個性も相まって、一人ひとり違います。その為シングルケーススタディになることが多いですがその蓄積が重要であると思うし、積み重ねていくことで見えてくるものもあると思いました。

継続して行っていきたいです。

これからやっていくこと


パーキンソン病に関する研究

 パーキンソン病者の歩行改善に何か一石を投じることができないか考えています。

パーキンソン病は、筋固縮、無動、姿勢反射障害、静止時振戦などの主症状が相まって、小刻み歩行やすくみ足など歩行に影響を与えます。転倒のリスクもあがり、骨折や脳損傷の可能性も出てきます。また、歩行だけでなく上肢にも障害が出るので車椅子での移動も困難になる可能性もあり、日常生活やQOLにも大きく損害が生じます。

 一般的な治療は、薬物療法と運動療法(運動+日常生活活指導)が主であり、場合により手術による治療も行われる場合もあります。

(私の学生のことは手術療法はなく、1990年代終わりころから適応がある場合に行われるようになりました)。

パーキンソン病は脳の伝達物質により種々の症状が現れますが、効果としては薬物療法が効果的であると思いますが、運動療法も重要となります。運動療法にどのような客観的効果があり、より継続して歩行が実用レベルで保つことができるかとても興味があります。

 

がん患者のリハビリテーションに関する研究

文献検索して取り組んでいきます。詳細は今後ご期待ください